放射線について(1) - 基礎用語・放射線量の単位

3月11日の地震と津波による東電福島原発の事故発生以来、原子炉や放射線について、ネットや書籍で調べました。
それをまとめておきます。

まず、今回の記事「放射線について(1)」では、 基礎用語と放射線量の単位についてまとめました。
次回、「放射線について(2)」では計測装置、モニタリング、関連法規についてまとめる予定です。

基礎用語 (被爆、汚染、放射能、放射線、放射性物質、など)

被爆汚染の違い

放射性物質(放射線源)から出た「放射線」を体に浴びることを「被爆」と言う。
「放射性物質」があるべきでない場所(体、食物、器材、など)に付着することを「汚染」と言う。
   参考:原子力安全研究協会・汚染と被爆の違い(1)

放射能:radioactivity

物理学的な定義では、放射線(radioactive ray, radiation)を出す活性力(放射性,放射活性、放射線を放射する程度)を言う。
放射能の強さは、1秒間に崩壊する原子核の数で表され、ベクレル(記号Bq)という単位で表す。原子核が崩壊する時に放射線を放射する。
   参考:ウィキペディア・放射能

放射線:radioactive ray, radiation

一般的には電離性を有する高いエネルギーを持った電磁波や粒子線のことを指す。
放射線は、以下のように分類される。

o 粒子線(高速粒子線)
アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、陽子線、重荷電粒子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するものを指す)、中性子線、宇宙線
o 電磁放射線
ガンマ線(γ線)、エックス線(X線)

   参考:ウィキペディア・放射線

放射性物質放射性同位体(放射性同位元素):

放射能を持つ物質を放射性物質、放射能を持つ原子核の種類や同位体をそれぞれ放射性核種、放射性同位体と呼ぶ。

放射性同位体は不安定であるため、一定の確率で原子核崩壊を起こし、それにともない放射線が放出される。この性質が放射能である。原子核崩壊は単に崩壊や壊変とも呼ばれ、いくつかの形式がある。これを崩壊モードといい、主な崩壊モードにはアルファ崩壊、ベータ崩壊、ガンマ崩壊がある。それぞれの崩壊では、α粒子β粒子、γ線が放射線として放出される。

放出されたα粒子、β粒子は崩壊モードに応じた数メガ電子ボルトの運動エネルギーを持つ。また、γ線はエネルギーを持つ電磁波である。これらのエネルギーは崩壊エネルギーと呼ばれ、崩壊後の原子核や放射された粒子の合計質量が崩壊前の原子核の質量より減ること、つまり質量欠損に対応する。崩壊モードと崩壊エネルギーを図で示したものが壊変図式である。

崩壊エネルギーは最終的に熱エネルギーに変わる。このため、放射性物質はしばしば発熱して高温となる。
    参考:ウィキペディア・放射能

半減期

放射性同位体は、崩壊にともない指数関数にしたがって量が減っていく。そしてその同位体由来の放射能は減衰していく。ある放射性同位体の量が半分に減るまでにかかる時間は核種ごとに常に一定であり、これを半減期という。半減期は物質によって異なり、1秒以下から数百億年以上のものまでさまざまである。短い放射性同位体は早く壊変するため、質量あたりの放射能である比放射能は高くなる。
    参考:ウィキペディア・放射能

主な放射性同位体の半減期
セシウム137(13755Cs): 30.1年 、ヨウ素131(13153I): 8.1日 、コバルト60(6027Co): 5.2714年 、ストロンチウム90(9038Sr): 28.90年 、ウラン235(23592U): 7億年 、プルトニウム239(23994Pu): 2万4000年
  注) 元素記号の左下が原子番号、左上が質量数。

・同位体

同位体(どういたい、isotope、アイソトープ)とは、同じ原子番号を持つ元素の原子において、原子核の中性子の数が異なる(つまりその原子の質量数が異なる)核種の関係、あるいは核種である。
同位体は安定なものと不安定なものがあり、不安定なものは時間とともに放射性崩壊して放射線を発する。これが放射性同位体である。
放射性同位体はアルファ崩壊により原子番号と質量数の異なる核種へ、またはベータ崩壊により同質量数で原子番号の異なる核種へと放射性崩壊を起こす。
    参考:ウィキペディア・同位体
    参考:ウィキペディア・放射性同位体

原子番号質量数

原子番号(げんしばんごう)とは、ある原子について、その原子核の中にある陽子の個数のことである。電荷をもたない原子においては、原子中の電子の数に等しい。
質量数(しつりょうすう、mass number)は、原子核を構成する陽子と中性子の数を合わせたものを言う。
同位体を区別するときに用いられることが多い。元素記号の左肩に示す
    参考:ウィキペディア・原子番号
    参考:ウィキペディア・質量数

周期表

周期表(しゅうきひょう、英: periodic table)は、物質を構成する基本単位である元素を、それぞれが持つ物理的または化学的性質が似かよったもの同士が並ぶように決められた規則(周期律)に従って配列した表である。これは原則的に、左上から原子番号の順に並ぶよう作成されている。周期表上で元素はその原子の電子配置に従って並べられ、似た性質の元素が規則的に出現する。
    参考:ウィキペディア・周期表

放射能・放射線の単位

・放射線防護関係諸量とその変遷

放射線防護に関係する放射線量は、X線が発見された後の初期の段階においては光子のみに適用される「照射線量(exposure dose)」を測定することによって評価されてきた。その後、中性子など他の放射線の線量をも測定する必要から、「吸収線量(absorbed dose)」を、生物学的効果を考慮するための係数で荷重して算出される「線量当量(dose equivalent)」 、ICRP 1990年勧告では「等価線量(equivalent dose)」及び「実効線量」によって線量の評価が行われてきた。

注) ICRP(International Commission on Radiological Protection):国際放射線防護委員会
専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う国際学術組織である。ICRPが出す勧告は、日本を含む世界各国の放射線障害防止に関する法令の基礎にされている。 (ウィキペディア・国際放射線防護委員会より)

 参考:原子力百科事典 (財団法人高度情報科学技術研究機構): 放射線防護諸量の単位の移り変わり

・放射能の量を表す単位:ベクレル

ベクレル(becquerel, 記号: Bq)とは、放射能の量を表す単位。1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を出す放射能の量が1Bqである。たとえば、370 Bqの放射性セシウムは、毎秒ごとに370 個の原子核が崩壊して放射線を放出している。
ベクレルという名称は、ウランの放射能を発見しノーベル物理学賞を受賞したフランスの物理学者アンリ・ベクレルに因む。

 参考:ウィキペディア・ベクレル

・吸収線量を表す単位:グレイ

通常、放射線の強さとして用いられるのは、放射線の作用量である。照射された物体への作用量としては、物体の質量当たりの吸収エネルギーが取られ、吸収線量: absorbed dose,記号:D,単位:(J/kg)が基本的な表し方で、グレイ(Gy)という名称が与えられている。

 参考:原子力百科事典 (財団法人高度情報科学技術研究機構): 放射線防護諸量の単位の移り変わり

・線量当量・等価線量・実効線量を表す単位:シーベルト

シーベルト(Sievert)は、生体への被曝の大きさの単位。記号はSv。呼称は、放射線防護の研究で功績のあったロルフ・マキシミリアン・シーベルトにちなむ。
 参考:ウィキペディア・シーベルト

等価線量 (equivalent dose)

等価線量HT,Rは、臓器または組織の吸収線量に、該当する放射線荷重係数を乗じたものであり、次式で与えられる。
 HT,R=WR・DT,R
ここで、DT,Rは放射線Rによる吸収線量を組織または臓器Tにわたって平均したもの。また、WRは放射線Rに対する放射線荷重係数である。放射線場が色々な値のWRを持つ放射線から成り立っている場合は、放射線の種類ごとにHT,Rを計算して総等価線量を求める。等価線量の単位はシーベルト(Sv)である。なお、ICRPの1990年勧告以前は、組織線量当量と呼ばれていた。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・等価線量

放射線荷重係数(radiation weighting factor)

放射線の種類(線質)によって異なる確率的影響を同じ尺度で評価するために決められた係数。β線およびγ線に対しては1、α線に対しては20など、放射線荷重係数が与えられている。なお、放射線荷重係数は、従来は線質係数と呼ばれていた。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・放射線荷重係数
 参考:原子力百科事典・放射線荷重係数

実効線量(effective dose)

放射線被ばくによる全身の健康影響を評価するための量である。実効線量は、組織当たりの等価線量組織荷重係数を乗じたものを、各組織で加算して算出される。単位は、シーベルト(Sv)である。法令で定める実効線量の線量限度は、女性を除く放射線業務従事者に対しては、5年間で100mSvかつ1年間で50mSvであり、一般公衆に対しては1年間で1mSvである。なお、平成12年の法令改正以前は、実効線量は実効線量当量と呼ばれていた。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・実効線量

組織荷重係数(tissue weighting factors)

実効線量を計算するときに各組織・臓器の等価線量に掛ける係数。放射線被ばくによる各組織・臓器の確率的影響の損害割合を身体の全損害に対して算定されたもの。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・組織荷重係数
 参考:原子力百科事典・組織荷重係数

線量限度(dose limit)

放射線により確定的影響の発生を予防し、また確率的影響の発生を容認できる程度に制限するために、国際放射線防護委員会(ICRP)によって勧告された量。我が国は、放射性同位元素および放射線発生装置による放射線障害防止に関する法令(放射線障害防止法)に、ICRPの勧告を取り入れている。線量限度としては、放射線業務従事者の実効線量に対して、50mSv/年かつ100mSv/5年などである。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・線量限度
 参考:原子力百科事典・ICRP1990年勧告の線量限度
 参考:原子力百科事典・現行法令に規程された線量限度
 参考:ウィキペディア・シーベルト → 「放射線防護とシーベルト」の項にある表に、実効線量(単位:Sv)と身体への影響の関係がまとめられています。

線量当量 (dose equivalent)

放射線の種類やエネルギーが異なると吸収線量が同じでも生体への影響は異なる。ICRPの1977年勧告で放射線の人体への影響を表す量として線量当量(=吸収線量×線量係数)を定義した。しかしICRPの1990年勧告で線量当量の計算方法を厳密にし名称も変更して、新たに等価線量として定義し現在用いられている。→等価線量参照。
 参考:原子力安全研究協会・用語集・線量当量

1cm線量当量

1cm線量当量は、放射線モニタ−等から得られた線量測定値実効線量とを関連づけるため、国際放射線単位測定委員会(ICRU)が定めた、ある場所の放射線の量を表す物理量の1つである。人体組成を模擬した元素組成値をもつ直径30cmの球体(ICRU球)を放射線場に置き、その球表面から1cmの深さの点での線量の値を言う。
電子ポケット線量計や放射線管理用のサーベイメータ等はこの量を表示するよう調整されている。
 参考:原子力百科事典・1cm線量当量
 参考:weblio辞書・原子力放射線用語・1cm線量当量

放射線モニタ

放射線取扱施設などにおいて放射線量(率)を連続的に測定監視する設備である。放射線のレベルを検出器が置かれている場所とモニタ監視盤で表示し、その値を記録計に連続的に記録し、異常時には検出器の場所とモニタ監視盤で警報を発報する機能をもつている。これにより作業者に放射線レベルの異常を知らせて被ばく線量の低減を図るとともに、放射線安全を確認するために使用される。測定する放射線の種類にはγ線、中性子線の線量率や空気中の放射性塵埃、放射性ガスの濃度、水中の放射能濃度などである。
 参考:原子力百科事典・放射線モニタ